活用事例2

「競技に関わる人々とつながることで、競技の普及やハンドボールの価値を高めることができる」日本ハンドボール協会上村氏が語る、スポーツ情報管理サービスによる競技の輪を広げていく仕組み作り

スポーツ情報管理サービスは、実際にスポーツの現場でどのように利用され、競技団体の課題を解決しているのか。今回は、公益財団法人日本ハンドボール協会の上村陽子氏にお話を伺った。

日本ハンドボール協会がスポーツ情報管理サービスを導入したのは、2021年の3月だ。競技の更なる普及と、助成金に頼らず安定した収入を得るにはどうしたらいいかについて模索している時期に、スポーツ情報管理サービスに出会った。

「以前から弊協会にも独自の競技者登録システムが存在していて、10万人ほどが登録していたのですが、競技を"する人"、"みる人"、"支える人"全ての人のデータ基盤を作ろうと思い、導入を決めました」。以前のシステム導入から10年近く経過し、システムのリプレースの検討が必要だったことも、導入を後押しした。

チームや団体ごとの登録や、競技者だけの登録ではなく、スポーツ情報管理サービスではファンの登録や、新たな付加価値の提供もできることが、競技の更なる普及を目指す上で大きなメリットとなると考え、導入を決定した。

スポーツ情報管理サービスによる情報一元管理が、より安全で分かりやすい団体運営に寄与する

スポーツ情報管理サービス導入メリットの一つが、情報を一元管理できることだ。中央競技団体として選手、審判の情報を管理する際に、スポーツ情報管理サービスの基盤が大いに実力を発揮する。「指導者資格の有無を確認する際に、スポーツ情報管理サービスのシステムを活用できるようになりました。公認スポーツ指導者資格の義務化の流れのなか、日本ハンドボール協会でも、年間チーム登録時に役員の中にJSPO公認スポーツ指導者資格保有者1人以上の登録を必須とする方向です。そのため、中央競技団体としては各チームにその資格を持っている方がいるかを確認する必要があるのですが、それもスポーツ情報管理サービスのシステムを応用して、資格の登録や確認ができるようになりました。また、審判に関わる資格も種類が大きく増えたのですが、それも少ない改修で登録ができるようになりました」。

競技に関わるさまざまな情報が、そこに全て集約されている状態を実現する。さまざまな情報処理や事務作業を、複数の資料にまたがって行うには、やはり認知的負荷がかかる。それを減らすことにより、選手はより競技そのものに注力し、競技団体は大会運営、競技の普及に力を入れる。より競技の本質に力を割ける。その環境を作り出せるのが、スポーツ情報管理サービスによる情報一元管理なのだ。

また、様々な事情がある地方競技団体特有の課題解決にも寄与する。「たとえば審判登録料を現地で集金したり、現金書留で集めたり、といった作業を、各個人の入金に変えることができましたし、誰がいつ何を支払ったのかを一元的に管理して、地方競技団体の方と同じ情報を共有できることは大きなメリットです」。

加えて、マーケティングツールとしても大きな力を持っている。「選手や競技者としては辞めてしまっても、このサービスでは情報が残り続けることも大きなメリットです。一人一人個別でデータベースに登録するので、個人にメールを配信することもできます。ファンの方も登録ができるので、その形を利用して弊協会では日本代表のファンクラブを立ち上げることができました。また、チケット販売ができることも大きなメリットです。これまではチケット販売を外部に委託していたため、誰が買ってくれたかの情報を取ることができませんでしたが、その情報を自分たちで持っていられることは大きいです。この機能をまだ使うことはできていないのですが、近々の大会で利用する予定です」。

競技団体として一番の命題になる競技の普及の点で、スポーツ情報管理サービスがより効果的な方法を提供できる機能を有しているといっても、過言ではないだろう。

スポーツ情報管理サービスがスポーツのDX化を推進し、競技に関わる人の輪を広げ、より多くの人々を巻き込んでいく

▲スポーツ情報管理サービスを活用し、ファンクラブページを運用している

スポーツ情報管理サービスによる恩恵は事務的な要素だけではない。上村氏は、スポーツ情報管理サービスの導入後、次のような経験があったと話す。「このサービスははじめに競技者と審判の登録のために始めたのですが、トレーナを管理する部門の方から『トレーナの情報もこのシステムで管理できないか』と相談を受けることがありました。このサービスで情報を安全に管理できるようになったのはもちろんですが、このサービスを通じて、人と人との関わりや競技の輪が広がっていくような気がしますね」。

スポーツのDX化により、同じスポーツに関わる人々が、新たにスポーツのためにできることを模索し実行していく。世の中は、スポーツ情報管理サービスが目指す未来像に向けて、まさに変化の真っ最中だ。

最後に、将来的に増やしていきたい機能について上村氏に伺った。「それぞれのチームが自分のチームを紹介できるページがあったら良いかなと思いますね。もう引退してしまった人や、少しハンドボールから離れてしまった人、また始めたいけどチームを知らない人たちのために、マッチングの機会を協会として提供できたら良いなと思っています。"する人"は引退してしまっても、"みる人"、"支える人"とつながり続けることは、競技の普及やハンドボールの価値を高めること、継続して協会が発展していくことにとって重要です。日本中のハンドボールに関わる人たちが一体となることで、ハンドボールがもっと広く普及できる形が実現できます」。

いつでも競技とつながり続ける仕組みを作る。それにより、競技者だけでなくさらに多くの人々が競技を盛り上げ、関わる人々の輪を広げていく。その輪は、新たにスポーツをみる人、する人、支える人を生み出していく可能性を大いに含んでいる。

スポーツ情報管理サービスが、日本のスポーツの新たな”当たり前”を作っていく。

人物紹介

日本ハンドボール協会 IT担当

上村陽子(かみむら・ようこ)

日本ハンドボール協会でIT領域を担当。ユーザー企業のIT部門、IT調査会社を経て、2020年より現職。